ホログラムの中の幸せ


水音が室内に響く。
汗の匂い、淫猥な匂いの噎せ返るような部屋。


「あ、……っ慎也」


甘い声がベッドの軋む音に混じる。
柔らかな女性特有の身体をしならせ、この不健全な部屋の淡い光が女の白い肌をより一層艶かしく魅せる。
女の絹のような艶のある髪を乱しながら、その身体に跨る男は獣のような目を鋭くする。
その瞳には色欲がゆらゆらと灯っていて、まるで捕食者のようだ。
鍛えられた男の逞しくもどこか色気のある首に女は腕を引っ掛ける。
もっと、と媚びるように潤んだ瞳で女が男を見上げれば、男は濡れた唇を貪るように激しく口付ける。
唾液を交換し、飲み切れなかったものが女の顎を伝う。
漸く唇を離せば、女は蕩けきった表情を浮かべる。


「はっ、エロいな名前」


女の名前を呼び、服を乱す。
乱雑に脱がされた服が床に散らばる。


「ここ、もう既にぐっしょりだな」


男はにやりと唇の端をつり上げる。
愛液の染み込んだショーツの上からそこを指の腹で撫でれば、びくりと女の身体が跳ねた。


「あ、も…っ、触っ、て……っ」


涙で濡れた瞳を男に向け懇願すれば、男は更に笑みを深くした。
男は指をショーツの隙間から差し入れる。
クロッチの隙間から侵入してきた太くも長くしなやかな指がゆるゆると蜜口の上を滑り、女は息を詰まらせた。
弱い刺激にもどかしそうに女の腰が揺れる。
それを視界の端に捉えれば、ずぶりと蜜口に一気に3本指を埋めた。
突然の刺激に身体が跳ねる。
弱い部分を執拗に攻め立てれば、女は呆気なく甘い声を上げて達する。


「相変わらず早いな」

「慎也が上手いんだよ。…ね、ちょうだい?」


啄むように男の唇に吸い付き、強請る。
白く細い指を男の頬にするすると滑らせれば、男は我慢の限界だと言わんばかりにその手ともう片手をベッドに縫いとめた。
片手で器用にベルトを外し、卑猥に先走りを垂らすものを蜜口に宛がり、貫く。
詰まったような息を漏らせば、がんがんと容赦なく突き上げる。


「ひああ…っ、や、…激し……っ」

「……っ…嫌いじゃないだろ」


女の脚を自分の肩に掛け、更に激しく男は攻め立てる。
快楽に溺れるその姿は何とも煽情的だ。


「っあ、イく……っ」


びくびく、と身体を跳ねさせ達せば、男はくるりと女の身体を反転させる。
バックの体制にすれば、女の呼吸が整うのを待つこともなく激しく突き上げた。
悲鳴にも似た甲高い嬌声が響く中、男が快楽に眉を寄せる。


「中、っ狭いな…」


すぐイきそうだ、と漏らし、男は更に律動を激しくする。
女は力が上手く入らないのか、既に上半身はベッドに沈んでいた。


「…は、出すぞ……っ」


その言葉のすぐ後に中に出される感覚。
ゆるゆると前後に動かし全てを出し切ると、男は女を抱え自分の上に乗せた。
そして甘く労わるような口付けを何度もする。


「慎也、疲れた。激し過ぎ」


鍛えられた胸板に顔を埋め、不満気に呟く女に男は笑う。
その瞳は先程までとは違い、柔らかく愛おしさが溢れている。


「でも嫌いじゃないだろ?」


勝ち誇ったように言えば、悪態が返ってくる。
そんな何気ない日常を心地よく思っているのはお互い様だろう。


「明日、朱ちゃんと当直でしょ、確か」


幸せに浸っていれば、ぽつりと漏らす。
それに反応し、女を見れば面白くないという表情。
案外独占欲の強いこの女がたまらなく好きでたまらない自分も中々独占欲が強い。


「もう一回ヤるか?」


に、と笑えば、女は口元を緩める。
そして口付けを合図に、2人は再び快楽に堕ちていく。



▽ホログラムの中の幸せ

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